ホラーといえば映像やアトラクションを思い浮かべる人も多いが、今年渋谷で開催されている『HORROR TELLER FESTIVAL 2025』は一味違う。
主役はスクリーンでも特殊効果でもなく「語り手の声」。
照明が落ち、語り部が口を開いた瞬間、観客の想像力が暴走し、目に見えない“怪異”が姿を現す。

怪談の力は「想像」にある

人間は、見えないものほど恐ろしく感じる──。
このフェスでは国内外の怪談師が集結し、それぞれ独自の語り口で観客を異界へと連れ込む。
韓国の語り部・MikaL氏は独特の抑揚で、まるで異国の祈祷を聞いているかのような体験を提供。
日本の語り部たちは古典怪談や都市伝説を現代風にアレンジし、観客の身近な生活へと侵食させる。

会場が“耳の劇場”に変わる瞬間

渋谷のライブハウスが舞台となるこのフェス。暗闇の中で響く語り声、わずかな間、そして沈黙。
観客が一斉に息を呑むタイミングは、舞台全体が見えない怪異に支配されたようだ。
音響演出も凝っており、右耳から囁かれたかと思えば、背後で息遣いが聞こえる錯覚に陥る。

恐怖を共有するフェスの魅力

怪談は一人で読むより、誰かと聞くことで恐怖が増す。
語りの後には観客同士で「どの話が一番怖かった？」と語り合う光景も多く見られる。
単なる“聞く体験”ではなく、“共有する体験”こそが、このイベント最大の魅力だろう。

開催情報

『HORROR TELLER FESTIVAL 2025』は渋谷某所のライブハウスにて2025年8月27日開催。
一夜限りの公演のため、参加希望者は早めの予約が必須だ。