
【映画レビュー】『見える子ちゃん』――“見えるのに無視”で貫く恐怖とユーモア
作品概要
原作は泉朝樹による同名コミック。実写映画版は「霊が見えても“見ないふり”を続ける」という唯一無二のコンセプトを、青春群像の温度感と地続きに描く。笑いと恐怖の配合比が絶妙で、日常の延長に“怪異”が割り込む設計が観客の自意識を刺激する。
恐怖設計:<視線>と<無視>の映画文法
- マイクロ表情の接写:主人公の視線の“泳ぎ”や口角の揺れをロングテイクで見せ、無視の苦行を身体的に体験させる。
- 画面端の情報密度:怪異は画面中央に滅多に現れない。周辺視で捉えた瞬間に“目を逸らす/逸らせない”のジレンマが発火。
- 音響の逆転:派手な効果音は抑制し、教室の換気扇・雨音・蛍光灯の唸りなど“生活騒音”が恐怖の母体に。
テーマ読み:境界線の訓練としての“無視力”
「気づいても反応しない」という行為は、学校やSNSのノイズとどう折り合うかという現代的サバイバルに重なる。無視は逃避ではなく、自己保存の技。恐怖と向き合うのではなく“受け流す”賢さを肯定的に描く点が新しい。
注目シーン(ネタバレなし)
放課後の昇降口。暗転寸前の夕景で、鏡越しに“何か”が映り込む。主人公は一呼吸おいて正面を見据え、敢えて靴紐を結び直す――「視たが、反応しない」の美学が凝縮。
こんな人におすすめ
- ゴア描写より“気配”でゾクッとしたい人
- 原作のギャグ×ホラーの落差が好きな人
- 日常系ホラー(デイライト・ホラー)に惹かれる人

「ふふ、無視って最強のおまじないだよ。視線を返さなければ、世界はこっちを選べないの」
「“見ない”ってこんなに勇気いるんだ…! 僕なら反射で二度見しちゃってゲームオーバーだよ😨」