
【ゲームレビュー】『夜廻(Yomawari: Night Alone)』――小さな少女の視点で描かれる“夜の町”の恐怖
作品概要
『夜廻(Yomawari: Night Alone)』は、日本一ソフトウェアが開発した探索型ホラーアドベンチャーゲームです。
2015年に日本国内で発売され、その後Steamでも配信され、海外のプレイヤーからも高い評価を受けています。
主人公は小さな少女。ある夜、飼い犬を連れて散歩に出かけた際に、恐ろしい怪異と遭遇し、犬と姉を探す旅へと出発することになります。
少女の視点で描かれる“夜の町”は、懐かしさと不安を同時に呼び起こし、プレイヤーに独特の恐怖体験を与えます。
ストーリー(ネタバレなし)
舞台はとある地方都市。昼間は見慣れた住宅街や公園、学校などですが、夜になるとそこには人ならざる存在が徘徊しています。
主人公は行方不明になった犬と姉を探すため、懐中電灯と石ころだけを頼りに夜の町を彷徨います。
物語はセリフをほとんど使わず、環境描写と演出によって進行。言葉以上に「視覚」と「音」が恐怖を語る作品です。
プレイヤーは少女の無力さを痛感しながらも、一歩ずつ前へ進む緊張感に没入していきます。
ゲームプレイとシステム
『夜廻』は探索型ホラーでありながら、戦闘要素はほとんどありません。プレイヤーは怪異から逃げ隠れし、道を切り拓いていくことが基本です。
少女が持てるのは懐中電灯と小石。小石は怪異の注意を引くための道具として使用でき、直接的な攻撃手段はありません。
そのため、プレイヤーは「どう逃げるか」「どこに隠れるか」を常に考える必要があり、緊張感が途切れることはありません。
マップは広く、住宅街や墓地、工場跡など多彩なエリアが探索可能。どのエリアにも独自の怪異が潜み、プレイヤーを待ち受けています。
恐怖の仕掛け
本作の恐怖は、派手な演出ではなく「日常の裏返し」にあります。
昼間は子どもが遊ぶ公園や通学路が、夜には一転して恐怖の舞台へ変わる。
そのギャップが強烈な印象を残し、プレイヤーに「見慣れた風景が実は恐ろしい」という感覚を植え付けます。
- 環境音:草むらのざわめきや遠くの犬の鳴き声が、現実感と不安感を増幅する。
- 視界の制限:懐中電灯の明かりが照らす範囲だけが頼りで、それ以外は闇に包まれている。
- 少女の無力さ:怪異に対抗できないという設定が、逃走劇を一層スリリングにする。
プレイ後に残る余韻
『夜廻』は単なるホラー体験に留まらず、どこか切なく、哀しい物語でもあります。
怪異に満ちた夜の町を進む中で、少女の心細さや孤独がプレイヤーに深く伝わり、「守ってあげたい」という感情が恐怖と同時に芽生えるのです。
その感情的な揺さぶりこそが、本作を名作ホラーへと押し上げています。
プレイ後には、夜道を歩くときにふと足を止めてしまう――そんな余韻を残してくれるでしょう。

「“見慣れた町が恐怖に変わる”って最高の演出よね。日常が反転する瞬間ほど怖いものはないわ」
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「夜の道って、普段は何ともないのに…このゲームをやってから、一歩歩くたびに背後が気になって仕方ないよ」