作品概要

『The Sinking City 2』は、Frogwaresが開発するラヴクラフト的世界観を基盤としたサバイバルホラーアドベンチャーです。
前作『The Sinking City』（2019年）は架空の都市オークモントを舞台に、狂気と水没、未知の神々が絡み合う重厚な物語で高い評価を得ました。
今作ではさらに演出が強化され、都市が水没していく絶望感とともに、人智を超えた恐怖に挑む体験が拡張されます。
探偵的な調査要素とオープンワールド探索、そしてラヴクラフト的恐怖の融合が本作の最大の魅力です。

ストーリー（ネタバレなし）

舞台は再びオークモント。前作で描かれた水没の危機はさらに進行し、都市はほぼ崩壊寸前の状態となっています。
プレイヤーは超常現象に引き寄せられる探偵として、異常な事件や失踪、人間同士の抗争を調査していきます。
徐々に明らかになるのは、この街が「海の向こうの存在」によって支配されつつあるという恐るべき真実。
ラヴクラフト作品に通じる「理性の限界に挑む恐怖」が、より濃厚に描かれることが期待されています。

ゲームプレイとシステム

『The Sinking City 2』は、調査と探索を中心に展開されます。
廃墟と化した街をボートや徒歩で移動し、手がかりを集めて事件を解決していくスタイルは前作を踏襲。
しかし今作では「サバイバル要素」が大幅に強化され、限られた資源を管理しながら探索を進める必要があります。
弾薬や食料は貴重であり、安易な戦闘はリスクを伴います。
また、プレイヤーの「正気度（Sanity）」が重要な要素となり、異形の存在や禁忌の真実に触れるたびに正気度が低下。
正気を保つか、それとも真実に迫るために理性を犠牲にするか――選択が物語を大きく左右します。

恐怖の仕掛け

『The Sinking City 2』の恐怖は、ラヴクラフト的な「未知」と「理性の崩壊」にあります。
それは直接的な怪物との戦い以上に、精神に訴えかける恐怖として表現されています。

• 水没都市の閉塞感：逃げ場を失った街が、物理的にも心理的にもプレイヤーを追い詰める。
• 異形の存在：人智を超えた生物や神格的存在が断片的に登場し、その姿を直視することさえ恐怖となる。
• 正気度システム：狂気に囚われることで幻覚や錯乱が発生し、現実と幻の区別がつかなくなる。

プレイ後の余韻と意義

本作を終えた後に残るのは、「人間の無力さ」と「未知への畏怖」。
ラヴクラフト作品に通じる“コズミックホラー”は、恐怖であると同時に畏敬の念を抱かせるものであり、プレイヤーは自らの小ささを痛感します。
それでも真実を追い求めてしまう探偵の宿命は、プレイヤー自身に「なぜ自分は恐怖を求めるのか」という問いを突きつけることでしょう。
『The Sinking City 2』は、単なるホラーゲームではなく、哲学的な余韻を残す作品として強烈な存在感を放ちます。